『禁忌の子』|読み進めるほど「禁忌」の意味がわかるミステリ【本屋大賞候補作】

ミステリー小説

2025年本屋大賞候補作

タイトルを一目見て読みたいと思いました。

なんとこれが山口未桜さんのデビュー作だそうです。

何が「禁忌」なのか?

とても興味をそそられたので読んでみました。

今回紹介する本はこちらです👇

自分と瓜二つの遺体との出会い

物語の主人公は病院の救急医・武田。

彼の元に自分と瓜二つの溺死体が搬送されてくるところから始まります。

身元不明死体「キュウキュウ十二」はなぜ死んだのか?

そして、なぜ自分と瓜二つなのか?

最初からとても引き込まれる設定でした。

そして、武田は自分とそっくりな死体の身元を確認するため、

妊婦の妻には心配かけないようにと伝えることはせず、旧友で同じ病院勤務の城崎と共に自身の出生について調べていきます。

しかし、戸籍謄本を見ても手掛かりになるようなものは載ってはいませんでした。

武田の実家で母の遺品を確認していると手掛かりになりそうな人物が浮上してきます。

「生島クリニック」を訪ね

その人物に接触を試みます。

「あなたには知る権利がある」

と真相を話すため準備がしたいとのことで日を改めることになります。

後日、指定された日時に尋ねると

その人物は密室で死体となっていました。

犯人は一体誰なのか?

真相を知る人物によって消されたのか?

「キュウキュウ十二」の死との関係は?

と、次々と謎は深まるばかりでした。

この密室殺人の犯人を追う中で、何かあるのではないかという含みを持たせた人物が何人か登場してきます。

この辺りから完全に物語に引き込まれ、読む手が止まりませんでした。

少しずつ明らかになる「禁忌」の意味

密室殺人の謎を追っていると、武田と「キュウキュウ十二」の瓜二つの謎も少しずつ明らかになっていきます。

そして、「禁忌」の意味についても明らかにされます。

そして、ここから物語は大きく動きます。

「キュウキュウ十二」の身元がわかり、母親を訪ね真相にかなり近づきます。

今から約30年ほど前のまだ医療や法整備もされていない頃の話が関連してきます。

当時、不妊で悩む夫婦の力になるべく不妊治療の研究に余念がなかった生島京子。

その思いが強すぎるが故に起きた今ではあり得ない、その当時だからこそ起こり得た出来事。

そして、その奇跡が巡り巡って今回の事件を巻き起こすこととなったという悲しい事件でした。

最後まで驚かされる二重三重の仕掛け

クライマックスでは今まで出てきた事実からさらに仕掛けがあり、驚かされました。

この事件が起きたきっかけは奇跡、愛、そしてそれらを失いたくないという強い思いから起きた悲しい結末でした。

しかし、この「禁忌」は現代では起こり得ない状況だと思いますが、もし自分の身の回りで起きるとどう行動するだろうと考えてしまいました。

決して本人たちは悪くない。

そして、昔起きたことも悪意があったわけではない。

そんな中起きた悲劇でした。

衝撃的な展開が続く本作でしたが、話のテンポや作りが秀逸で読んでよかったと思いました。

作中では医療系の専門用語が飛び交いますが、難しすぎず素人の読者にもわかりやすい内容でした。

探偵役の城崎は少し「探偵すぎる」ところはありましたが、それも含めてこの作品の魅力だと思いました。

「禁忌」という言葉にいろいろな意味が重なっていて終始ドキドキしながら読めました。

読み終えた今、「禁忌」というタイトルの重みを強く感じています。

デビュー作とは思えない完成度で、次回作も必ず読んでみたいと思える一冊でした。

📚今回読んだ本

▶︎こんな人におすすめです

・どんでん返しのあるミステリが好きな人

・伏線回収を楽しみたい人

・設定勝ちの作品を読みたい人

▶︎こんな人には合わないかも

・リアリティ重視のミステリを求める人

・医療や生命倫理を扱うテーマが苦手な人

・ゆったりとした物語を読みたい人

▶︎常識では考えられない設定から始まるミステリが好きな方には『異常【アノマリー】』もおすすめです📚

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