『殺戮に至る病』|犯人は見えていたのに、それでも騙された

ミステリー小説

犯人は最初からわかっていました。それでも、完全に騙されました。

今回紹介する本はこちらです👇

叙述トリックと知らずに読む方がいいのか問題

ミステリー好きの間でよく議論になるのが「叙述トリック系の作品は、それと知らずに読む方がいいのか」という話です。

たしかに先入観なしに読めば、トリックの衝撃は最大になります。知らずに読んで騙された時の「え、そういうこと??」という体験は格別だと思います。

ただ私は今回、叙述トリックだと知った上で読みました。

それでも騙されました。

「知ってたのに騙された」

という事実が、この作品の凄みをそのまま表していると思います。

叙述トリックが苦手な人も、ぜひ先入観なしで読んでほしいです。知った上で

「どこで騙されるんだ」

と構えながら読んでも十分楽しめます。

それがこの作品の底力だと感じました。

グロテスクな描写が多く、読む人を選ぶ作品

最初に正直に言っておきます。

この作品はグロいシーンも描かれています。

今まで紹介してきたミステリーとは明らかに毛色が違います。

私自身、読み進めながら

「うわ、これはきつい」

と思う場面もいくつかありました。

それでも読む手は止まりませんでした。

それだけ物語の引力が強かったということです。

グロ描写が苦手な方には正直おすすめしにくいです。

ただそこさえ乗り越えることができればミステリーとしてはとても完成度の高い作品なのでぜひ手に取っていただきたい一冊です。

犯人の動きは最初から明らかにされている

構成としては3者の視点を場面ごとに変えて進んでいきます。

そのうちのひとつが犯人の視点です。

犯行の動機や手口などもほぼ全部序盤から明らかにされていました。

叙述トリックと知って読んでいた私は

「どこかに仕掛けがあるはずだ」

と目を凝らしながら読み進めました。

犯人視点のシーンを読むたびに

「ここか?」「このセリフか?」

と疑いながら読んでいました。

それでも気づけませんでした。

それでも最後まで核心には気づけなかった

仕掛けを探しながら読んでいるはずなのに、物語に引き込まれるとその意識がどこかへ消えていきます。

気づけば純粋に「犯人は捕まるのか」「次はどこへ向かうのか」と先を追っていました。

叙述トリックを警戒していたはずの自分が、いつの間にか作者の手のひらの上で転がされていました。

読み終えた瞬間、「やられた」と思わされた

最後には「うわ、やられた」と、

思わず声が出ました。

読み返してみて初めて気づいたのですが、ある人物関係の描写の中にずっと仕掛けが隠されていました。

言われてみれば確かにそう書いてある。でも読んでいる最中は一度も疑わなかった。人間は「こうだろう」と思い込んだら、それを覆す情報が目の前にあっても見えなくなるものなんだと実感しました。

どこで思い込んで、どこで思考のズレを作られたのか。読み返してもその境界線がわからないくらいスムーズに騙されていました。

叙述トリック系を何冊か読みましたが、

この作品は色んな意味で一番衝撃を受けた作品です。技術的な巧みさだけじゃなく、騙された後の後味も含めて、唯一無二の読書体験でした。

📚今回読んだ本

▶︎こんな方におすすめ

・どんでん返しのあるミステリーが好きな人

・読後に「なるほど」と思いたい人

・印象に残る作品を読みたい人

▶︎ こんな人には合わないかも

•グロテスクな描写が苦手な人

•スッキリした読後感を求める人

•トリックよりも人間ドラマを重視する人

タイトルとURLをコピーしました