ミステリー好きなら一度は名前を聞いたことがあるであろう宮部みゆきさん。
数ある代表作の中でも30年以上読み継がれている名作『火車』を読んでみました。
今回紹介する本はこちら👇
30年前とは思えないリアルさ
冒頭でも述べた通り、この作品は30年程前の平成初期が舞台の物語です。
情景の中でその時代らしさは描かれているものの、今読んでも新鮮に感じるような描き口だと思ったのが最初の印象です。
物語は、捜査中の怪我で療養中の本間の元に甥っ子からある依頼が来るところから始まります。
その依頼内容とは…
婚約者の彰子が突如姿を消したので探して欲しいとの依頼でした。
失踪の原因については、
婚約者のクレジットカードを作ろうとすると自己破産している為、作ることができないとの通知が。
そのことを本人に確かめようとすると、姿を消していたとのことでした。
本間も最初は乗り気ではなかったものの、調査していく中で別の人間が彰子になり変わっているのではないかとの疑惑が浮上してきます。
しらみ潰しに手がかりを調べていくと、自己破産していた原因を知ることになる本間。
自己破産をした彰子は、浪費家でも特別な人でもありません。弁護士からも
「普通のOLでした。」
と語られます。
親の借金を背負わされ、それをきっかけに多重債務におちいった彰子。
決して散財していたわけではなく、
「ただ幸せになりたかった。」
その思いで積み重なった少しずつの負債が返しきれない額となり、自己破産をすることになったという。
真面目だからこそ返す必要のない親の借金に苦しめられていました。
平成初期のクレジットカードが普及しまじめた頃の話ですが、ここですごいと思ったのは現代でもありえる身近な話だということです。
今はさらにキャッシュレス決済やネット通販など現金を使わない様々な決済方法が普及しています。
リボ払いなどで、簡単に支払いを延期できたりカードローンなどで高価なものを手軽に手に入れれるような世の中になっている現代こそ、この自己破産の恐怖というのはリアルに感じなければいけないことだと思います。
500ページ超とは思えない没入感、「なりすまし」の謎
警察の同僚の力も借り、コツコツと彰子(本物)がどんな生活をしていたか、どこでなり替わったのか調査していきます。
そこで浮上したある通販会社。
本間は大阪にいき、その会社に向かいます。
そこで何か知ってそうな人物に辿り着きます。
この辺りからは謎の正体はどんどん近づいていき、本から手が離せません。
次から次へと気になる要素が出てくるので本の世界へのめり込んでしまいます。
もっと深く話したいところではありますが、熱くなりすぎてついネタバレをしてしまいそうで怖いです。
なぜ、彰子(本物)はなり替わられたのか?
なぜ、彰子(偽物)は彰子(本物)をなり替わりの対象として選んだのか?
そして、どうやってなり替わったのか?
気になって止まりません。
500ページを超える長編ですが、次々と新しい事実が明らかになるため長さを感じることはありませんでした。
30年前だからこそ驚いたこと
この作品を読んでいて思うのが、最初にも書いた通り、30年前の話です。
しかし、年代を言われないと現代と間違えてもおかしくないように書かれているのがすごいことだと思います。
宮部みゆき作品は今までにいくつか観たり読んだりしていますが、改めて凄さを実感しました。
クレジットカードによる自己破産、そしてそこから始まるミステリー。
王道のミステリー作品ですが、社会派ミステリーでもあります。
この組み合わせを30年前に思いつく先見の明は驚きです。
読んで思ったこと
単純にミステリーとして読み応え抜群の大作でした。
最後の終わり方も続きが気になるような終わり方をしますが、とても良い終わり方で作品としてかなり好きな部類に入りました。
現代においてのキャッシュレスの賛否はあると思います。
実際に使いすぎて
「あー、先月は使いすぎたな」
と反省することもあります。
これは30年前の宮部みゆきさんが危機感を感じていたことが今現代においても問題視されるべきことだと思います。
ミステリーとしても楽しまさせてもらい、お金の使い方についても考えさせられる一冊でした。
30年前の作品とは思えない、今だからこそ読んで価値のある名作だと思います。
📚今回読んだ本
▶︎こんな人におすすめ
・社会派ミステリーが好きな人
・どんどん真相が明らかになる作品を読みたい人
・長編でも一気読みできる作品を探している人
・宮部みゆき作品を初めて読む人
▶︎こんな人には合わないかも
・明るい雰囲気の作品を読みたい人
・テンポの速いアクション系ミステリーを求める人
・重いテーマが苦手な人
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