『一次元の挿し木』|遺伝子学が問いかける倫理と、人間の執念を描く科学ミステリー【ドラマ化作品】

ミステリー小説

「200年前の人骨と四年前に失踪した妹のDNAが一致?!」

2025年『このミステリーがすごい!』文庫本グランプリ受賞作。

遺伝子学というあまり知らないジャンルですが、あらすじを読み興味を持ちました。

今回ドラマ化されるということで原作をひと足先に読んでみました。

今回紹介する本はこちら👇

遺伝子学という題材に惹かれた

遺伝子学を専攻する大学院生・七瀬悠の元に石見崎教授からある人骨のDNAを鑑定して欲しいと依頼が舞い込む。

いつも通り、慣れた手つきでDNA鑑定したが、思わぬ鑑定結果に驚きを隠せない悠。

4年前に失踪した妹・紫陽(しはる)と完全一致したという結果が。

ここで遺伝子学について読者にもわかるように説明してくれるシーンもありますが、完全に理解できたわけではないですが、物語を読み進めていく上で邪魔にならない程度に詳しく説明してくれているので、

「難しくてやめようかな」

と思うことは一度もありませんでした。

そして、今まであまり読んでこなかった遺伝子学が関わるミステリーだったので興味を惹かれました。

なぜ、4年前に失踪した妹と同じDNAが200年前にも存在しているのか?

そもそも、妹・紫陽(しはる)はなぜ失踪したのか?

その謎を解明すべく悠は人骨のDNA鑑定を依頼してきた石見崎教授の元へ向かいます。

そこで、石見崎教授が殺されているのを発見してしまいます。

天才遺伝子学者であった石見崎教授、そして悠の父七瀬京一。

最初にこの2人が問題の人骨を探しに海外へ行っている描写がありました。

この2人の過去には何があったのか?

今回の不可解な出来事にどう関わっているのか?

その後、新たな人物も現れ、悠は紫陽の失踪と事件の真相を追うことになります。

時系列が変わっても読みやすい構成

この物語は、章ごとに人物・年代が切り替わりながら話が進んでいきます。

こういうタイプの小説では、いつの話をしているのかが混乱してしまうものもありますが、きちんと整理しながら読めたので時系列が変わる煩わしさは感じずに読めました。

いろんな登場人物の元に、

ただならぬ影が近づいてくるシーンが描かれていますがかなりドキドキします。

「ちゃぽん」

という音とともに200年前の人骨に関わる人たちが姿を消していく。

その恐怖も相まってドキドキして読むスピードはどんどん上がっていきました。

最後まで考察が止まらないミステリー

前半に散りばめられた数々の謎や伏線。

それを徐々に解明していく悠。

次々と出てくる新事実に考察が止まりませんでした。

人が人を愛するのは、遺伝子?見た目?

そんな人生観のような問いも出てきます。

遺伝子学という題材だけでなく、人間ドラマとしても読み応えのある作品でした。

この原作がどのように実写化されるのか楽しみです。

📚今回読んだ本

▶︎こんな人におすすめ

・科学や遺伝子をテーマにしたミステリーが好きな人

・伏線や考察を楽しみたい人

・ドラマを見る前に原作を読んでおきたい人

・人間ドラマも楽しめるミステリーを読みたい人

▶︎こんな人には合わないかも

・テンポの速いアクションミステリーを求める人

・科学的な設定が苦手な人

・派手などんでん返しだけを期待する人

📚合わせて読みたい

社会派ミステリーが好きな方にはこちらもおすすめ。

30年前に書かれたとは思えないテーマ性で、今なお読み継がれる名作。

クレジットカード社会の怖さと、「普通の人」が転落していく恐怖を描いた『火車』も、強く印象に残った一冊です。

👉『火車』の記事はこちら

タイトルとURLをコピーしました